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シャーマン・アレクシー

 インディアンの詩人で小説家。脚本も書いたり、役者もしたりする。
 アレクシーも、私がかつて親交のあった方も、自らをインディアンと呼び、特にアレクシーはネイティブ・アメリカンという呼び名を嫌うから、私も敬意を込めてインディアンという言葉を使う。嫌う理由は、彼の著作を読めばわかる。

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「はみだしインディアンのホントにホントの物語」エレン・フォーニー絵 さくまゆみこ訳(小学館)

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左から
「リザベーション・ブルース」金原瑞人 訳
「インディアン・キラー」金原瑞人 訳
「ローン・レンジャーとトント、天国で殴り合う」金原瑞人・小川美紀 訳(3冊とも東京創元社 絶版)

 「はみだしインディアンのホントにホントの物語」はヤングアダルト、あとの3冊は一般書。

 「はみだしインディアンのホントにホントの物語」は、全米図書賞他いろいろな賞を受けているが、それらの受賞前に翻訳家のさくまゆみこさんが原書をお読みになり、惚れ込んで出版社に強くはたらき掛けられたという作品。米ワシントン州の保留地に生まれ育ち、保留地外の白人が通う高校に転校した著者の、78%事実だという物語。邦訳書は、2010年やまねこ賞を受賞。(やまねこ賞は、児童書翻訳家達のWEB上のグループ「やまねこ翻訳クラブ」による、優れた邦訳児童書に贈られる賞。)
 過激だがヤングアダルトだから、一般書である他の3冊よりも少しは軽くてやわらかい。漫画のようなイラスト満載なこともあり、一見思いっきり茶化したギャグだらけの本に見える。そういう点では取り付きやすいだろう。でもブラックユーモアに包まれた78%事実の重みは、一般書に劣らない衝撃を与えてくる。にもかかわらずそのラストは、少年達の友情の好さを感じさせ、その直後にいやいやこの子達の日常は、そんな甘っちょろい言葉が入り込む余地などないのだと思い返す。逆に、そんな大変な日常を描きながら、ラストで友情をさりげなく描くという持ってき方、こういうところが実に上手いよな。
 うだつの上がらない先生が主人公の家まで来て、彼に、諦めないで生きる為に転校を勧めるくだりには感涙した。この“保留地を出る”という行為がなかったら、作家シャーマン・アレクシーは存在しなかっただろう。それはまた新たに、インディアンの世界と白人の世界との狭間でどちらにも属せなくなる、という苦しみを生み出すことにもなったのだが…。
 一見、インディアンという限られた人達の物語に見えるけれど、読後に得た感情は普遍的なものだった。ふわふわなハッピーエンドでなく、がっつり本音で向き合う物語。描写は中学生以下には過激すぎるかもしれないから、お子さんに紹介する時はまず親御さんがご一読を。

 「リザベーション・ブルース」は長編で、「ローン・レンジャーとトント、天国で殴り合う」は短編集。どちらも保留地のインディアンを描いている。
 「インディアン・キラー」は都市部のインディアンを描く長編で、ブラックユーモアに彩られた他の2冊と違い、100%どシリアス。とにかく重くて、研ぎ澄まされた刃のように、うかつに触れたら傷だらけにされるであろう作品だけど、私はこれがかなり好き。

 アレクシーの作品はとにかく強い。ズタボロに傷ついてもなお歩みを緩めようとはせず、心の内を文字にして叩きつけてくる。対するこちらも足元をしっかりさせてがっちり受け止めないと。
 彼の著作に出合ったのが、自分の根っこをしっかりさせた後でよかった。ふわふわしたまま出合っていたら、竜巻に木の葉が飛ばされるみたいに、とんでもない所まで一瞬で吹き飛ばされてしまっただろう。「インディアン・キラー」では特に歯に衣着せぬ物言いで、真剣で切り込んでくる。

 78%を見ただけでもすごい体験をし、それに負けずに、今だって負けずに言葉を紡いでいるわけで、この魂の強さと、それが刻み込まれたかのような作品の強さに惚れる。

2015.9.26追記
 アレクシーも最近ではネイティブ・アメリカンという言葉を使うようですね。ただ、インディアンと使い分けている感はあります。
参照→「Sherman Alexie: How Storytelling Can Create Social Change  Wednesday, September 23, 2015
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