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キャンセル考

 このところ、舞台のキャンセルということについて考えさせられることが相次いだ。

 私が昔やっていたアマチュア劇団の代表者は、公演を公に発表する度に、「これで社会的責任が生まれました。もうキャンセルは出来ませんからね。」と言い、私たちは演技も道具やなんかも、なにがなんでも間に合わせる為に邁進した。発表してしまったら、なにがなんでも幕を開けなければならない。未完成だろうがなんだろうが、みっともないものを挙げたとしても、それがその劇団の実力。期日にしっかり幕を開けること、それが社会的責任。練習中にどんなに嫌なことがあっても、いなくなってしまう人はいなかった。その分、公演後に辞める人はよくいたけれど。嫌でも公演までは責任を果たす、そこは踏ん張っていたわけだ。

 実はうちの劇団は、当時県内の演劇関係者の中でかなり有名だった(らしい)。代表者が元々有名な人だった。だから公演をすれば、他の劇団関係者や、友人知人でもないあかの他人が、お客様として来てくださった。だから、幕を開けるにはそれなりのものを出さなければならなかった。そりゃプロの足元にも及ばないけれど、下手は下手なりに、この程度でいいやなどとは全く思わずに。

 この代表者は、人間的には決して尊敬できる人ではなかったが、この社会的責任というやつを、若い頃に叩き込んでもらったことには感謝している。今やっている読み聞かせにだって関わってくることだ。当時のご職業は公共ホールの技術者だったから、現場のプロとしてプロの公演に携わっていたわけで、そこからもたらされた厳しさだったのかもしれない。

 同じ公民館で練習していたよその劇団は、こうはいかなかったらしい。そこに入っていた友人に後から聞かされた話だが、どの位前だったかは忘れたけど公演が迫っていたのに、主役の人が駆け落ちして行方不明になったんだそうな。(@_@;) で、代役を打診された人が、時間がないのを理由に固辞した。みんなが説得しても、私の立場を本当に判って言っているのか?と返され、それ以上言えなくなったそうだ。うちで主役をやれと言われたら、喜んで受けるやつがいっぱいいただろうな。そして文句を言いつつも、なんとか形にしちゃっただろう。でもこのお宅はそうはいかなかった。キャンセルという前例を作ってしまうと以後も踏ん張れなくなるから、どんな出来になろうとも絶対にやらなきゃ駄目だ、という意見もあったそうだが、無理だという意見の方が多くて、結局キャンセルした。

 うちの代表者だったら、絶対に許さなかっただろうな。代表者だけでなく、うちらだって頑張ってやっただろうな。もしもキャンセルになったら、その場で解散だっただろうな。アマだってこの位の気概で臨んでるんだから、プロなら尚更、だと思うんだよね。

 大女優 鈴木光枝さんが晩年、舞台で死ねれば本望ですか?という問いに答えて、とんでもない、とおっしゃっていた。昔はそれでよかっただろうが、現代では1つの興行に多くの人が関わっている。主役が興行途中で亡くなったりしたら、その全ての人に影響が及ぶ。最後までやり遂げられる体力があるのでなければ、役を受けてはいけない。舞台で死ぬなどとんでもないことだ、と。プロってのは、自分のことだけじゃなく、ファンのことも、スタッフのことも、ものすごくたくさんのことを背負ってるんだ。
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