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黄色のこと

黄色は「嫌いな色」だった。

幼稚園児の時には「赤と緑の仲を裂く意地悪な色」と思っていた。これは信号機からの発想らしいが、どうやら、今でも好きな緑は当時から好きだったらしい。では赤は?というと、現在は特に好きということもなくよくわからないのだが、桃色は好きなので、桃色に近い赤に加勢したのかもしれない。そんなわけで、「緑君と赤ちゃんが仲良くしていると割り込んできて赤ちゃんにつらく当たる意地悪な黄色ちゃん」という壮絶な三角関係が、幼児の私の頭の中で築かれていたわけだ。そしてこのイメージはその後も頭の中に存在し、色を選ぶ時に少なからぬ影響を与えていたようだ。勿論、黄色い服を一切着なかったわけではないし、黄色い絵の具を一切使わなかったわけでもない。だが、あまり好い感情は持っていなかったのだ。

ところがある時、黄色の持つ、他のどの色にもまねの出来ない威力を、認めざるを得ない出来事が起こった。

それは高校生の時、クラスで使うクリスマスカードを描いていた時のことだ。その絵は、当時私が持っていた昔の北欧に対するイメージ全開の絵で、木で作られた家の中、壁にはタペストリー、床の敷物の上でうたた寝をしている女の子、その子に掛け物をしてやって微笑んで見ている男の子、そこに金文字で「A merry Christmas to you !」と入れるという、女子高生が喜びそうな、文字で書くとなんともこっ恥ずかしい図柄だった。

ところが、色を塗っていて行き詰った。なんだかぱっとしない。全体が奥に引いている。何を加えればいいのか、試しに絵の具のチューブを順番に絵の上に置いていった。なかなか決まらなかった。そりゃそうだ。黄色を後回しにしていたんだもの。出来るだけ使わないように頭が働いていたんだもの。そして最後に黄色を置いた時、その絵の全てが変わった気がした。ほんの一点黄色が加わっただけで、全体が引き締まり、頭の中に完成図が現れた。はい、塗りながら色を考えていたんで、それまでなかったんです。

この時私は黄色の圧倒的な力を知った。ほんの少しあるだけで全体が生気に満ちるその力。他の何色にも変えられないその力。黄色ってすごい!命を生み出す色だ。太陽が黄色いから?黄色って命の色?そういえば幼児の頃に読んだ絵本で、熊の子が森で黄色い絵の具が入ったバケツとはけを見つけて、凍っている川にそれを塗ると川の水が解けて流れ出したり、地面に塗ると草が生えて花が咲いたりする話があった。最後にそれは春風だったかの持ち物だったとわかるんだけど、なんで黄色なのか、私は疑問だったんだ。こういうことだったのか。

とまあこんな具合に一人で盛り上がって、傍から見ればなんだそんなこと、本人にしてみれば天地がひっくり返る大発見をしたわけだ。付け加えると、この時はレモン色やクリーム色では駄目だった。北欧のイメージだったから、先の女の子の髪はレモン色で、男の子はレモンか黄かは忘れたがそれに白を混ぜたクリーム色で、そこは既に塗ってあった。その上で、黄色が必要とされたのだ。絵によってはレモン色でも大丈夫かもしれないが、やはり黄色の方が力強く感じる。

そんなことがあってから、黄色は無視できない色になった。多分、使うことも増えただろう。3/31に載せたアクリル画なんか、始めに全体を黄色で塗りつぶしてから描き出したものだ。

今でもやはり、嫌いな色を聞かれたら、黄色と答えてしまうかもしれない。でも黄色の力は、心底から認めている。
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